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2022.12.22

ヘルパーさんには、何でもお願いできるの?

介護保険の中で運営しているサービスの一つが介護ヘルパー、正式には「訪問介護」です。

「家に来てくれて、困っていることを手伝ってくれる」誰しも単純にそう思いますよね。

しかし、介護保険とは、要介護(要支援)者の自立を促すための支援であって、その困っていることというのが問題なんです。誰しもその困りごとは色々です。作成されたケアプラン(時間や内容)にも制限があって、その中でやれることというのには、当然限りがあります。ですから、日常的に必要なもの、最低限な事柄に限られてしまうんです。

   例えば、
    ① 同居する息子さんがいて、「息子の部屋が散らかっているから掃除して欲しい」はNG
    ②「タバコがなくなったから買ってきて欲しい」もNG
    ③「毎週読んでいる週刊誌を買ってきて欲しい」もNG

例を挙げたら切りがありません。①で言えば、保険で利用できるのはその被保険者であって、家族ではないのでNG。②③はそう、嗜好品。つまりは、なくても困らないものだからです。でも、これはお買物を代行で行った場合であって、ご本人と一緒に買物に行った場合は、当然、好きなものを購入できます。それを説明すると、私の身内でさえ、「そんなんじゃ意味ないでしょ」って不思議な顔をされます。

そんな中で、日々ヘルパーさん達は格闘しています。それぞれのお宅・お宅で、求められることが違うからです。介護ヘルパーの仕事は大きく分けて2つあります。一つは、ご本人の身体に触れて行う介護。つまり、排泄介助や入浴介助・食事介助等です。もう一つは、お掃除や買物といった生活援助です。その生活援助が、先に話したようなヘルパーさんの悩みにもなるのです。

 私が経験した中でこんなことがありました。判断が難しいとヘルパーさんから連絡が入りました。

 「〇〇さん宅の食卓の上にある照明の傘(かなりテーブルに近い位置に設置されているもの)なんですが、〇〇さんが食べている時に、傘の埃が落ちてくるので掃除して欲しいっていうんですよ。手が届かなくて掃除できないと。これって大掃除ですよね。」

私としては、一瞬絶句です。(さっと雑巾で拭いてあげればいいのに・・・)と思ってしまう。でも、介護保険の規定では、こうした電気の傘だったり、窓拭きだったりは大掃除とみなされ、保険ではお手伝いできないことになっているのです。それで国が示した奥の手は、そうした介護保険で頼めないものは、事業所独自で設定している「自費サービス」を利用して下さいとなるんです。このことで言えば、ヘルパーさんは、「すみません。電気の傘拭きは大掃除になってしまうので今はできないんです。また別の日に、自費サービスをご利用してはいかがでしょう。」こうなるんです。こう言われた利用者さんはどう思いますか?ヘルパーが悪いですか?不親切ですか?

 医療保険でも保険内診療と保険外診療があります。例えばがんの先進医療などはよく聞く話ですね。歯科でも保険適応で義歯を作れますが、もっと良いものを作りたければ保険外の義歯を頼むことになります。介護保険もこれと同様に、保険でできるサービスと保険外のサービスが細かく決まっているのです。

『固いことを言わずに、ちょっとついでにやってくれればいいのに不親切だ』と思う方もいるかもしれませんが、我々は、日々、介護保険法に則った健全な運用を求められています。真面目に法律に従っているだけなんです。毎日の業務で生じるこうした矛盾はたくさんあります。

 きれいなお庭の見える窓際で過ごす、寝たきりのAさん、
 「すみません、ヘルパーさん。窓向こうに鳥の糞がついていてお庭が見えずらいの。拭いて頂けないかしら」
 「申し訳ございません。窓ふきは大掃除になってしまうので私達にはできないんです。」

 大雨の日のサービスで、
 「今日は雨だから玄関がひどいことになっていると思うの。まだ時間あるでしょ。玄関の泥をきれいにしても   
  らえないかしら?」
 「すみません。玄関掃除はプランには入っていないのでできません。」
  ※ヘルパーの靴でも汚してしまっている。

確かに、「これもやって」「あれもやって」とおっしゃる、ヘルパーさん泣かせの利用者さんはいます。皮肉なことに、こうしたルールがヘルパーさんを守ってくれている部分もあります。こうした問題と日々格闘しながらヘルパーさんは頑張っているのです。

 益々加速する高齢化社会に向けて継続可能な制度にしていく為には、サービスを利用する側も提供する側も、制度を正しく理解しなければなりません。サービス提供の責任者として思うことは、どんなことであれ、ご利用者(お客様)との話し合いが大切なんだと思います。ただ、「できること」「できないこと」を伝えるのではなく、日々、一生懸命働いてくれているヘルパーさんを想像しながらご利用者と対峙できるか。説明責任を果たすというのは、とても辛く気が重い仕事ではありますが、まずは精神誠意、言葉で伝えてわかって頂くことだと思っています。

 困りごとはなんなのか、相手のニーズにどうしたら応えられるのか?一番大事なのはご利用者に寄り添って考えること。

 そんなことを、常に大切にしたいなと思っております。

(訪問介護)ふれあいプラザラビット 西葛西

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